ドラえもん途中中断時のテレビ朝日の対応

新潟県中越地震が発生してから早2ヶ月が経過し、地震の被害に遭われた方に、改めてお見舞い申し上げます。

今回のような大地震という非常事態で番組が途中で休止になるのはやむを得ないし、当然の対応だろう。しかし、テレビ朝日の特番に移行する際のプロセスとその後の対応にはいくつか問題点があると感じた。以下の文の大部分は地震が発生してからそんなに日が経たない頃に書いたのだが、ある程度落ち着くまでは、お蔵入りにしていた。鉄道が復旧したのを一つの目処として、公開することにした。

はじめに、地震発生当日の状況を説明する。最初の地震が発生したのは18時前であり、テレビ朝日は18時台は地震特番に切り替えていた。この時点では現地の被災状況が不明だったためか、19時からも特番を続けるかどうかギリギリの対応を迫られていたと思われる。結局、テレビ東京を除いた他局が地震特番を続行するなかで、テレビ朝日は19時からドラえもんスペシャルを放映した。だが、地震の被害が刻一刻と明らかになり、大規模な余震も発生し、結局、19時07分、地震特番に切り替えた。

今回のテレビ朝日の対応はどこが問題だったのか。まず、地震特番に切り替える際の対応である。今回、何の前触れも無しに突然画面がニュースセンターに切り替わった。これはあまりにも視聴者に対して不親切である。せめて、事前に、直前の数秒間でもいいから、「番組の途中ですがまもなく地震のニュースをお伝えします」等のテロップを出すべきであったと思う。特に、ドラえもんを見ている大多数の視聴者は子供であるから、なおさらである。さらに、ニュースを一通り伝えた後、CMに入る直前に、一度、画面がドラえもんに戻ってしまったのだ。この時点でCM明けはドラえもんが再開するのではないかと思ってしまった視聴者も少なくないと思う。特番がいつまで続くのか全く予測が付かない。おそらく、テレビ朝日もいつまで続けるかどうか決めていなかったのではないだろうか。地震特番を続けるなら続けると一刻も早く決断し、今日はもうドラえもんはありませんと視聴者に伝えるべきであった。また、途中中断となったドラえもんスペシャルが後日改めて放映されるのか否かの情報もなかなか出なかった。そして、地震特番のアナウンサーはドラえもんを見ていた子供達に対して、一言でいいから、「ドラえもんを楽しみにしていた皆さん、ごめんなさい」と言うべきだったと思う。それで子供達が納得するかしないかは別にしても、一言言うだけで大きく違ってくる。ドラえもんの視聴者の大半は子供なのだから。

結局、最後まで視聴者に対して何の説明も謝罪もなく地震特番は終了し、他局は地震特番を続ける中で、テレビ朝日は21時からなんと土曜ワイド劇場を放送した。NHKは緊急時の対応に慣れているためか、早々に「本日放映を予定しておりました○○は、XX日のXX時から放送いたします」とのテロップを出していた。

これは以前から感じていたことであるが、子供向け番組であるはずなのに、テレビ朝日は、ドラえもんの視聴者は基本的に子供である事を心の底から認識しているのだろうか。提供クレジットの脇にでる公式サイト案内やプレゼントの告知などはひらがな主体の子供向け仕様であるが、ポケモン事件以降に付くようになった「部屋を明るくして画面から離れてみるように」との注意テロップはAパートの冒頭にふりがな無しの漢字主体で、しかも申し訳ない程度の小さな文字で出る。他局の一部の番組では、登場キャラ自らのセリフ入りで注意を促す、見ていて楽しい画面を用いる番組も少なくない。ドラえもんこそ、真っ先にそうすべきではないのだろうか。

どんなに緊急を要する時でも、最低限の配慮は必要と思う。

7月のインドネシアにおけるジェンキンス氏と曽我ひとみさんの再会特番でも、夕刊のテレビ欄を見ると、テレビ朝日以外の放送局は、特番に切り替えられていた。テレビ朝日だけが通常番組を載せておきながら、直前で差し替えたのだ。先日の、紀宮妃ご婚約記念特番の際も、他局は、週刊テレビ番組表の時点で特番を入れていたが、テレビ朝日は入れていなかった。当日の朝になって、週刊テレビ番組表には通常番組が放送されることになっていた時間帯に、急遽、特番が入れられていた。

テレビ朝日は非常事態に対する備えが他局に比べて劣っていると言わざるを得ない。


テレビ朝日地震で潰れたドラえもん特番を後日放送し直すことを告知したのは、かなり後のことであった。

情けないのは、ドラえもん特番が中断した事によって、ドラえもんファンサイトを中心に掲示板に目を覆わんばかりの暴言が相次いで書かれたことである。自分の住んでる地域では地震が起きていないのに、なぜ地震特番をやるんだだとか、とにかく、自己中心的な事ばかり。さらに、注意する者の中には、以前、別のサイトを荒らして、事実上閉鎖に追いやったにもかかわらず、その事を全く自覚していない者もいた。こういう人間も見苦しい。

ドラえもん特番が後日放送されることが決定される以前、一部サイトにおいては、ドラえもん特番再放送署名運動の呼びかけまで始めたのには苦笑せざるを得なかった。

自分も決して褒められるようなファンではないかもしれないけど、今回ばかりは、最低限のマナーすら持ち合わせていないドラえもんファンがあまりにも多いことに、呆れて失望した。