最後の大晦日ドラえもんスペシャル、そして・・・

現行のドラえもんでは最後の大晦日スペシャルとなった。以前は、「大晦日だよ!ドラえもん」というシンプルなタイトルだったのだが、ここ数年は、バカ丸出しの異様に長ったらしいタイトルになってしまった。時を同じくして、短編の合間に挿入されるミニコーナーの質も下がっているような気がする。ちなみに、今年のスペシャルのタイトルは、「緊急発表!ドラえもんドラデミー賞3時間スペシャル!!」である。

今回のスペシャルでは、事前に視聴者から放送してほしい作品を募集していたのだが、どこまで反映されたのであろうか。1988年の大晦日以来、16年ぶりに「ゾウとおじさん」が再放送されたのは嬉しかったが、それ以外のラインナップは疑問符の付くものばかりであった。「あの窓にさようなら」も名作には違いないだろうけど、他にもっと放送すべき作品はたくさんある。

来年春のリニューアルで、ドラえもんがどうなるのか、現時点では全く予想が付かない。各種マスコミ媒体には、無責任な新声優予想記事が見られるが、名前が上がるのは女優やタレントばかりである。現在、一般人の見るアニメは声優経験のない俳優やタレントが起用される傾向が多くなり、アニメにおいては、ギャラの安い若い声優が優先して起用され、30代から40代の中堅声優が出る機会が少なくなっている。ドラえもん達の新しいキャストには、脂ののりきっている中堅声優から起用されるのがいいのだが。

テレビ朝日は、アナウンサーを候補に加えるなど、失望させるような発表している。あまり触れたくないけど、最悪の結末も考えている。アフレコ経験のないタレントや俳優が起用され、主題歌は有名アーティストが1クール毎に変わり、内容はますます道徳味を帯びてくる。そして、原作のドラえもんとはますますかけ離れて行き、原作漫画のマニア化が進む。ドラえもんを誤解する自称・有識者はますます増えるであろう。

世の中に氾濫する、間違った認識でドラえもんを批判する文章を見るたびに、本来のドラえもん及び藤子作品の魅力を伝えて、認識を改めたいと思ったりすることもある。原作漫画を読んでくれさえすれば、認識も少しは改まるであろうと信じているのだが、原作漫画を相当数読まない限り、真の魅力は見えてこないだろうし、SF短編や他の藤子作品を読んでいるか否かでも、ドラえもんを読む視点は全く変わってくると思う。時間の限られている人達に対して、いかに、少ない時間で、藤子作品の魅力を一人でも多くの人に伝えることができるであろうか、永久の課題である。

ドラえもんの原点は、あくまで藤子・F・不二雄が自ら描いた漫画にある。自分が好きなのはドラえもんというキャラクターではなく、ドラえもんという漫画作品である。



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