わさドラOP変更と衣装イメチェンに思うこと

藤子・F・不二雄氏没後、大山ドラの最後の数年から続く迷走は現在も継続中。長寿番組は長年変わらないものもあれば、テコ入れと称して一定の間隔を置いて変化が加えられるものもある。長年変わらなければマンネリであると感じる向きもある以上、一定の感覚をおいて変化をつける事に関しては否定はしない。ただし、アニメのドラえもんの場合、21世紀に入ってから、テコ入れの感覚が短くなっている印象はある。レギュラー放送に限定し、ざっと思いつくだけで挙げてみると、

こうしてみると、改変期に合わせて概ね半年周期でテコ入れは行われている。もっとも、映画におけるタレントの出演等の宣伝活動を加えれば、さらに周期は短くなるのだが。これらの事が発表されるたびに、一般マスコミ媒体に掲載されたり、ファンサイトの掲示板で大論争になったり、ブログや検索での言及回数が上昇したり。"ファン"の反応は毎回お決まりのように否定的意見が集中することから、内容面から見れば、テコ入れがうまくいった事は一度もないように感じる。しかし、テコ入れを仕掛けた当事者に取っては、先に述べたように、新聞、雑誌、ワイドショーといったマスコミへの露出、そして、ネット上で大勢の人間が取り上げる事によって、一定の成果は上げたと判断しているのかもしれないが、その辺はよくわからん。

上の表を見て改めて思ったが、26年続いた大山ドラの最後を飾ったのはWだったか。加護亜依が「ああ いいな!」を歌っていた当時喫煙していたかどうかは知るよしもないが。喫煙問題が発覚するタイミングがズレていたら考えるだけでもゾッとする。そうでなくとも、以前関わっていた人間がスキャンダルになるのはドラえもんにとって汚点であり、そのような人物を選んだ当事者の責任も全くないわけではなかろう。

前置きが非常に長くなってしまったが、今回のテコ入れに関して感じたことを率直に書いてみる。もう毎度毎度の事なので食傷気味であり、怒り狂うといった感情は今回は起きなかった。定期的なテコ入れのネタとして、今回はOPとのび太達のファッションがターゲットになった程度の認識である。

まず、OP主題歌の変更について。正直、現行の「ハグしちゃお」は、「ドラえもんのうた」のように何年にもわたって歌い継がれていく歌とは思えず、できることなら早急に変更すべきと思っていた。従って、変更自体は歓迎している。新主題歌の詳細は不明なため、現時点での感想はタイトルのみでの判断となってしまうが、このタイトルを見る限りでは一定の期待は持てる。微妙に古くさいタイトルの通り、公式の煽り文句によれば「ちょっぴりノスタルジックなほのぼのとした歌」との事らしい。いずれにせよ、実際に流れるまで様子見。「ハグしちゃお」は1年半で変更となったが、夏川りみの大人の事情なのかはわからない。オールドファンへのご機嫌取りでないことを祈る。本当に祈る。

次に、ファッションのイメチェンについて。これも、正直、思ったよりは変わっていないとの印象。公式によれば

これまで登場しなかったひもぐつをはくようになったり、スネ夫が携帯電話を使っていたりなど、現代の生活を反映した変更も織りこまれていく予定!!

とある。この変更が行われる事によって、原作漫画からアニメ化する際にストーリーに改編が生じるならば、いかに上手く処理するかがスタッフの腕の見せ所となろう。というわけで、変更に関しては否定的ではない。というのも、ドラえもんは原作漫画にしろ、アニメにしろ、「現代の生活を反映した変更」は常に行われてきたからである。1985年に描かれた原作短編の「コピーロボット」において、源家に遊びに来たのび太に対して、しずちゃんが一緒にファミコンをやろうとするシーンがあったが、これを初めて読んだ時の方が驚いた記憶がある。ちなみに、この時のび太が選んだソフトは「やきゅう」であり、何でしずちゃんが持ってるのか疑問には思ったが。他には、1980年代後半、高層マンション「メゾン・バベルトップ」の12階にリハウスしてきたマナブくんという新キャラが登場したり、電話機がダイヤル式からプッシュホン、そしてコードレスに変わったりした。アニメでは、野比家にワイドテレビが登場したり、記憶に新しいところではのび太の部屋の窓枠が木製からアルミサッシに変わったりした。ファッションについては、原作漫画は中期からバリエーションが増えた。アニメはしずちゃんに関して1980年代初期に様々なバリエーションが見られた後はしばらく着たきり雀状態が続いたものの、1980年代末期頃から着たきり雀を脱却し、数種類の色違いが見られるようになった後、大山ドラ末期にはしょっちゅう変わっていた。仮に、21世紀に入ってもF氏がご存命であったならば、作品中にパソコンや携帯電話を登場させたのではないかと思う。

このように、時代に合わせた小規模な変更が繰り返された事から、今回の変更も、そんなに大規模な影響は受けることはなく、限度内に収まると思っている。楠葉宏三総監督が3月に発売された本で「(ジャイアンのび太にハーフパンツをはかせる事に関して)いきなりそうはしませんが」と発言したことが早くも覆された事に関して失望の声が見られるが、悲しいかなアニメにおける監督の権限なんてあってないようなもんだし、今回も上層部からの面には出てこない力が働いたのであろう。だから、一概に監督の発言を責めきれない部分もある。

要するに、最近時々名前が挙がる安達元一の指示による定期的なテコ入れの一環である可能性もあるわけで。今回もYahoo!JAPANのトップ入りしたりマスコミ媒体に取り上げてもらう事に成功したり、中身はともかく、話題にはなっているからな。そういう意味では、こうしてブログで長文を書いている時点で仕掛けた側の罠にまんまとはまっているのかも知れぬ。

と、書いてみると、わさドラ擁護に思えてくるかもしれんけど、擁護の段階には戻れなくなっていて、もはや諦めの段階に入り、無力感から怒る気にすらならなくなっているのかもしれない。

やり方は汚い事この上ないのだが、仮にSF短編やぴっかぴかコミックス、そして藤子不二雄Aランドの宣伝を安達元一が担当することになったらどうなるのか、それはそれで興味はあるわい。一時的に知名度は上がっても、作品の価値と品格は下がって長期的にはマイナスとなるであろう。

それにしても、ドラえもんにおけるブログでの言及率が高くなるのはこういう時だけという悲しさ。作品の中身で話題になるにはどうすれば良いのだろう。

アニメの迷走がこれからもずっと続き、アニメに完全に失望したとき、原作漫画にどうやって誘導するか。ドラえもんの原作漫画そのものは寿命が切れてるとは思わん。マーケティング側の問題でいくらでも盛り返せるとは思っている。

さて、買ったきり積みっぱなしになっていたぴっかぴかコミックスを読んでいくとするか。