NHK衛星第2「BS永遠の音楽・アニメ主題歌大全集」

懇親会から帰宅後、あらかじめ予約録画しておいたNHK-BS2の「BS永遠の音楽・アニメ主題歌大全集」を見た。この手の番組はNHK・民放を問わず、歌われる曲はだいたい固定化されているのだが、エヴァンゲリオン残酷な天使のテーゼ高橋洋子本人が歌っていたあたりに時代の経過を感じたのであった。藤子アニメでは、ドラえもんのうたと忍者ハットリくんが歌われた。

アラレちゃんのOPでは水森亜土本人が登場したのだが、歌声が衰えていてショックを受けたものだ。だが、亜土さんは、まだかろうじて聴けるレベルだった事をあとで自覚することになる。

アタックNO.1のOPで大杉久美子が登場したのだが、大杉さんの歌声を久しぶりに聴いて、ショックを受けてしまった。昔のような声が出せないことは噂には聴いていたが、実際に聴いてみて、衰えぶりがもう何というか、大勢が見ている前で歌わせることがかわいそうになった。もう人前で歌わせては駄目だよ、本当に。苦しそうな顔で頑張って歌っているんだけど、ハイジやフランダースの犬といった世界名作劇場をはじめとした多数の作品、そして、ドラえもんのうたで聴かせてくれた透明感のある声は完全に失われていた。6年ほど前にフジテレビのうたえもんに出演した際に歌ったときは、まだ歌声は衰えてないと思ったものだが、やはり口パクだったらしい。最近のドラえもんファンにとっては、ドラえもんのうたと言ったら山野さと子なのだろうが、自分の世代では、ドラえもんのうたといえば大杉久美子なのだ。ドラえもんのうたも歌ってくれたのだが、ソロで歌った部分はほんのわずかで、堀江美都子前川陽子のサポートがついていた。あの透明感のある歌声は2度と生で聴けないという現実を突きつけられて、ある意味、大山のぶ代ドラえもん末期の声変わり以上にショックだった。

すぐ後に歌った堀江美都子の、今でも全く声が衰えない化け物っぷりが光っていた。前川陽子もまだまだ聴ける声だった。それだけに、大杉久美子の衰えが一層目立つ形になってしまった。番組を見終えて、落ち着いた後、ちょっと考えた。変な言い方になってしまうが、確かにショックではあったが、大杉久美子はあの声が本当に出ないという現実がわかっただけでも良かったことだと思いたい。こういう文章を書いていて、大杉さんご本人に対して大変失礼であることはわかっているのだけれど、あの声が出なくなってしまった事を一番悲しんでいるのは、何よりも大杉久美子さんご本人であろう。NHKはなぜ出演依頼をしてしまったのだろう。大杉さんはなぜ歌うことを引き受けてしまったのだろう。

歌声は出なくなったけれど、毎週ドラえもんで聴いたあの美しい歌声は生涯忘れることはない。