テレ朝社長定例会見で公式発表

ドラえもんおよびその他のキャラについて、はっきりとした情報源でないにも関わらずブログおよび日記や掲示板等で新しい声優の情報を書く方が大勢見受けられるが、制作側から正式な発表がない限り、新しい声優が誰になるかについての記事は、予想を書く程度にとどめた方がよいと思う。ネットの影響を甘く見ると、時には大騒動になるのだから。

さて、今まで制作側からの公式発表がなかったドラえもんの声優交代について、大方の予想通り、11月30日のテレビ朝日社長定例会見で初めて公にされた。テレビ朝日ドラえもん番組公式サイトでも、ファンのみなさまへと題してメッセージが掲載された。藤子プロの公式サイトでも、「ドラえもんニュープロジェクト始動!」と題して、特設ページが立ち上がっている。

ドラえもん」リニューアルについて
早河常務:「ドラえもん」は、25年間で放送回数1967回、平均視聴率16.8%、最高視聴率31.2%、長編映画公開本数25本、映画の観客動員数のべ7700万人、海外での放送はのべ34カ国という、まさに国民的スーパーヒーローである。放送開始から25年経って、藤子先生が45巻を立ち上げた時の原点、「友情・努力・希望」といった大きな夢を包み込む世界をもう一度確認する、そして制作スタッフを一新し、永い未来に向かって「第二世代」に引き継いでいこうというのがリニューアルの意図である。また、HDの精細な画像で制作するなど時代にあった作業を行っていく。「どんどんプロジェクト」を立ち上げ、05年3月には第二世代に引き継いでいきたい。映画については06年春に公開する。制作スタッフは内定しているが、声優陣については未だ人選中である。
テレビ朝日定例社長会見要旨より)

ハイビジョンマスターになることに別に驚きはないが、地上波アナログ放送は、TBSの一部深夜アニメにみられるように、4:3にトリミングされた上で放送されるのか、それとも、同じくテレ朝のミュージックステーションのように、16:9のまま上下に黒帯を入れて放送されるのか、ちょっと気になった。、また、この記者会見の内容で一番引っかかったのは、『藤子先生が45巻を立ち上げた時の原点、「友情・努力・希望」といった大きな夢を包み込む世界をもう一度確認する』の部分である。一瞬、週刊少年ジャンプの「努力・友情・勝利」を連想してしまったが、原点が、友情・努力・希望なのかについては、特に努力の部分において首をかしげざるを得ない。ドラえもんはかつて藤子・F・不二雄が自ら語ったようにあくまで生活ギャグ漫画なのだから元々そんな大層な言葉をわざわざ並べなくてもと思ってしまった。これが、朝日新聞の記事だと、

 同局の早河洋常務は「これからの25年を見据え、原作者の藤子・F・不二雄さんがドラえもんに込めた『友情、努力、希望』というテーマを改めて見つめ直し、原点に返ることを関係各社で確認した」と説明した。

となり、多少ニュアンスが異なっている。本ブログで最初に声優交代問題について書いた際に、新ドラえもんについて『リニューアルをきっかけに、まったく新しい番組として原作漫画の持つドラえもんの本当の面白さを活かして、原点回帰してほしい』と書いたが、原点という言葉を使ったことについては、ちょっと嬉しかった。ただ、制作側は、その原点を根本的に勘違いしているというか、そもそもわかってない気がしてならない。

制作スタッフは内定しているとのことだが、テレビ朝日の公式サイトに掲載されたメッセージによると、メインスタッフについても交代するらしい。サブスタッフは入れ替わるのか、続投するのかは明らかになっていない。

これまで長い間番組を支えてくださったメイン制作スタッフ、声優の方々が次の世代の方たちに交代します。しかし「ドラえもん」という大切なキャラクターそのものが変わるわけではありません。番組は今後も変わらずに継続していきます。2005年4月からは、映像も進化し、原作の持つ魅力がさらに増した作品をご覧いただけます。
藤子プロ公式より)

制作側の言う「ドラえもんという大切なキャラクター」は、実は既に、のび太との関係が友人的から母親的に大きくわかってしまったわけだが、今後もこの路線で行くのだろうか。

いずれにせよ、新ドラえもんに向けて、制作スタッフは原作漫画を徹底的に読んで、ドラえもんの原点とは何か、真剣に考えてほしい。欲を言えば、ドラえもんの原点が何であるかわかろうとするためには、SF短編をはじめとする他の藤子F作品も読むべきであると思う。SF短編を読んでからドラえもんを改めて読み直すと、以前とは全く違った視点でドラえもんという作品を読むことができ、新たな魅力を発見できたのだから。


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