げんしけん最終回を見終えて

原作物が映像化された際に、オリジナルエピソードを入れたり、アニメ独自の展開をすることによって、原作ファンが、これだったら原作通りアニメ化した方がマシだと非難するのは、よくあることだ。では、原作通りのアニメ化とは、いったいなんなのであろうか。「原作通りのアニメ化=原作のコマをそのまんまアニメ化」という事ではないと思う。漫画とアニメではそれぞれ文法が異なり、間の取り方も異なる。漫画の間の取り方のままアニメ化したら、全然面白くないのではないのではないか。原作通りのアニメ化とは、原作の間の取り方がアニメでもうまく伝わってくるような表現でアニメ化されると言うことであろうか。

そういう意味では、今回のげんしけんのアニメ化にあたっては、原作の独特の雰囲気はアニメでも十分伝わった。大胆にもBGMを徹底的に排除して最低限にしたのは、結果的に正解だったと思う。

はじめは違和感を感じていた声優陣にも、自然と馴染んでいった。新入生歓迎会の回では原作から大幅に追加されていたが、違和感はなく、溶け込んでいた。現時点で、原作において一番盛り上がった、咲ちゃんがコスプレする回もアニメ化されたのは良かった。相次ぐ火災事故の直後だっただけに、在京6局ネットでの放送だったら、最悪、放映見送りになった可能性もあった。もっとも、未成年の春日部咲が大学1年生のうちからタバコを堂々と吸っていた時点で、UHFやCS以外でのオンエアは困難であるが。最終回の最後の最後で、荻上さんを出してくれたのも、原作ファンには嬉しい演出であった。後ろ姿だけだったけど。

逆に、不満点を挙げてみると、斑目と咲ちゃんの鼻毛話にまるまる1話を使う必要はなかったと思う。他の回では、原作のエピソードをかなり詰め込んでいたので、あの回は、かなり間延びしたように感じられた。鼻毛の回とコスプレの回で芽生えてくる斑目の咲ちゃんに対する愛情が決定的となったアダルトビデオで偽装の回がカットされてしまった。

とはいえ、全体的に見れば、十分満足のいく水準だったと思う。1クールでは物足りないので、原作のストックがたまったら、再びアニメ化してほしいところである。


糸冬_| ̄|○


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