「RED GARDEN」先行上映会レポ

昨日9月18日は10月から始まるGONZOの新作アニメ「RED GARDEN」の先行上映会に行ってきた。公式サイトで募集していた所へ応募したところ、当選したので行ってきたという次第である。何故応募したのかは、松尾衡監督であるという事とGONZOだからである。それに、上映会の内容がRED GARDEN」第1話先行上映会、他ということで、の部分に少々期待したというのもある。

松尾衡監督というと、なんと言ってもローゼンメイデンだが、その他にギャラクシーエンジェルの第1期において1本だけ絵コンテと演出を担当した話があった。高級レストランのディナーチケットが当たったミルフィーユ桜葉がノーマッドを連れて出かける話である。第1期としては後半に放送された話ではあったが、第2期以降に続く投げっぱなし路線が確立しつつあった中で、氏の担当した回は良い意味で普通の話であったのが今となっては印象的だ。

上映会の会場となったシアターN渋谷は渋谷駅から国道246号を越えてすぐの所にあった。開場時刻は20時55分であったが、既に数十人ほどの列が形成されていた。とはいえ、思ったよりは少ない感じだ。RED GARDEN のポスターが何枚か掲示されてはいるものの、あまり目立たない感じであった。時間になり、会場から一般の観客と思われる人々が出てきた。どうやらこの映画館の通常の最終上映の後に貸し切る形で行われるようだ。渋谷という土地柄であろうか。カップルや外国人が多かった。

入場する際にOPとEDの告知が書かれたチラシと作品のチラシを受け取ったのだが、作品のチラシに関してはどう見てもカラーレーザープリンタに両面で印刷した紙であった。開演時刻の21時10分を少し過ぎ、上映会は始まった。本編の前にGONZOの歴代作品のPVが流れる。そして、メインキャラクター5人を演じる声優のビデオメッセージも流れた。一人当たりの時間は大変短く、挨拶程度に喋っただけである。そして本編が流れた。

第1話の内容についてはこの場では伏せておこう。内容と関係ないところで、スクリーン上映とあってか、デジタル作画を拡大した事によるジャギーと24fpsと30fpsの違いから生じるスクロールのカックンが気になった。なお、OPとEDは付かなかった。本放送ではどうなるかはわからない。

第1話上映終了後、スクリーンの前のステージに椅子が5つ用意された。はじめにMCとしてGONZOの女性の方が登場した。続いて、松尾監督にGONZOとトライネットのプロデューサーが一人ずつ登場した。松尾監督は「外でこの劇場で公開される他の作品(のポスター)を見てました」といきなり観客を笑わせた。そして、いきなり「こういうのは上映前にするもんでしょ。上映後に喋ったって意味がない」とますます盛り上げる。

トークの概要は以下の通り。

  • 監督を引き受ける事になったいきさつについて
    • 渡されたのはA4用紙2枚だけの企画書
    • そこに書かれたあるキーワードで引き受ける事を決意。そのキーワードとは「最初から死んでいる」
    • 死んでいるというテーマを扱う以上、話が明るくなるわけがない。その辺を描いていくつもり。
    • 死んでいるから明るくなるわけがない。暗い物語になる。いかにその辺を描くか。
    • GONZOオリジナルだからこそ「売れるように」という制約はほとんどない状況でやれた。その一つがプレスコ
  • プレスコについて
    • アフレコだと絵と時間ありきなので、どうしても演技が制限されてしまう。それにアメリカのアニメ映画ではプレスコが当たり前。
    • (プロデューサーより)この話を上に通すのは大変だった
    • 第1話の収録を始めたところ、プレスコは初めての声優ばかりで舞台経験がある方はともかく舞台経験のない声優はボロボロだった
    • プレスコの効果が出てくるのは5、6話目くらいから。だから寒くなるまで頑張って見てください(笑)。
    • こんなに上手くできるのなら第1話は作り直したい(笑)。
    • 既に12話くらいまで録ってある。
  • キャラクターデザインについて
    • 何種類か提示された中から見た瞬間に即決で決めた。アニメーターを使うのだけは絶対にやめようと思った。
    • アニメーターは少しでも楽に動かそうとするために無意識のうちに省略して描いてくる。

ここでMC曰く予定にはなかったスペシャルゲスト・キャラクターデザインの藤純さんが登場。直前まで監督と食事しており、それを知ったプロデューサーが勧誘したそうだ。2杯飲んできたそうで、少々酔い気味。監督の話は続く。

「藤純さんの絵は下手です」

ご本人を目の前にしてあまりにもストレートに言い切ったので、藤純さん衝撃を受ける。
「もう少し・・・その・・・オブラートを包んで言えないんですかぁ?」

と苦笑い。さらに監督の話は続いた。

    • (藤純さんの絵は)技術的にはド下手だと思っているが、デザインはそういう事とは別だ。
    • 萌えないキャラにしたと思うかもしれないけど狙っているわけではない。
    • 石井(久美)がうまくアニメ用に描いてくれたけどもう少し徹底しても良かったと思う。

ここでプロデューサーから今後の展開についての説明があった。

    • 新たな試みとしてHISと組んだ。
    • HISのアメリカやカナダのパンフレットには本作が紹介されている。
    • 実は監督が取材でアメリカ行く際に使ったのはHISだった。

「それを知っていたらただで行けたのに」(監督談)

藤純さんからもこのような発言が。

    • 服装は毎回違う
    • 服には凝ってみた
    • 戦うときはこういう服を着るという様に

松尾監督からは
「戦いに行くときはジャージじゃないの?と思ったけど、女性はそうは思わないみたい」
とコメント。

  • 最後に
    • これから彼女たちは敵と戦っていくわけだけど、友人でもない者同士が最初から戦えるわけがない。その辺を描いて行きたい。

こうして予定時間を若干オーバーして上映会は終了。声優は来なかったとはいえ、監督が登場してくれた事と、監督の話が想像以上に面白くて、わざわざ足を運んだ甲斐はあったと思った。2クールは確定事項のようであるが、もちろん最後まで見ていくつもりだ。でも最終回だけ放送されないのはもう二度とごめんである。